日本の財政、じつは48兆円の「資産超過」だった…!石破総理「ギリシャ以下」発言のトンデモ度を証明する「驚きの試算内容」
石破総理の問題発言
石破総理は「日本の財政状況はギリシャよりもよろしくない」と国会で発言し、大きな物議を醸した。
一般的にはどのような個人的な認識を持つとしても自由ではあるが、日本国の舵取りを行う日本国総理との立場から見て、この発言はあまりにも問題が大きいと言わざるをえない。先頃辞任に追い込まれた江藤農水相の「コメを買ったことがない」発言とは比べものにならない問題発言であるのに、マスコミの追及は総じて甘いものにとどまっている。
この発言は実際に金融市場に大混乱をもたらし、5月20日の実施した20年物国債入札では、平均落札価格と最低落札価格の差を示す「テール」が1円14銭まで開くという入札の低調ぶりを示した。積極的な買い手が多ければ最低落札価格も高くなるから「テール」は小さなものになるが、積極的な買い手が少なくなれば、「こんな価格で買えたらラッキー」という感じの安値での入札にまでチャンスが巡ってくることになる。「テール」の拡大はこの「ラッキーな買い」が思わぬレベルにまで拡大したことを意味する。
この件について東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジストは「衝撃的だ。投資家の需要が集まらなかった様子が鮮明となった」と驚きを隠さなかった。
国債の流通市場でも軒並み価格の低下(金利上昇)が発生し、安定した購入者だった機関投資家に大きな損害を生じさせた。長期国債の利回り上昇は、住宅ローン金利などにも当然波及して国民生活にも影響が及ぶことは避けられない。こうして見た場合に、石破総理の不用意な発言がどれだけ重大な問題を孕むものだったかがわかるだろう。
「総債務残高」ではなくて「純債務残高」を見よ
しかも、日本の財政状況について石破総理が完全に誤って理解をし、その誤った理解に基づいて発言をしているから、さらに厄介なのだ。
確かに、日本の政府債務が先進諸国の中で突出して多いのは、間違いない。2024年末段階での日本の政府総債務残高の対GDP比は236.66%になっている。他のG7諸国における2024年末段階での政府総債務残高対GDP比で最も酷いのはイタリアの135.29%だから、そのイタリアと比べても日本は100%ポイント以上悪いことになる。だから日本の政府債務状況は最悪なのだというのだが、それはあくまでもこの「政府総債務残高の対GDP比」という指標で見た場合にすぎない。
日本政府は実は諸外国の政府に比して政府保有資産がずば抜けて大きな国だ。
だから債務全体を表す「総債務」で見るのではなく、債務超過分である「純債務」で考える方が正しいという見方もできる。
略
「実は資産超過」という試算の中身
龍谷大学経済学部の竹中正治教授は、IMFがまとめているPSBS(公的部門の資産・負債状況)のデータをもとに、中央政府、地方政府、社会保障基金、非金融公的企業、政府系金融機関を統合した連結ベースのデータで見た場合に、日本政府は純債務どころか、純資産が48兆円あることを明らかにしている。なんと日本政府は実は債務超過に陥っていないというのだ。
なお竹中教授は、「道路などは売れないじゃないか」という財務省側の懸念を考慮して、時価か簿価かで見解の分かれる有形固定資産を敢えて無視して、つまり事実上有形固定資産の評価額をゼロだとみなしたのと同じ状態で、日本政府の連結ベースでの純金融負債の対GDP比を計算している。
ただしこちらはIMFのデータではなく、日銀の資金循環表に基づいての集計である。
これによると、日本政府の「純金融負債の対GDP比」は、2020年の6月段階で135.7%だったのが、2024年の6月段階では86.4%にまで改善しているということになる。
ここでちょっと不思議なことに気が付く人もいるかと思う。
というのは、有形固定資産を含めた政府純債務残高(総債務ー総資産)の対GDP比は、日本は134.61%だったはずなのに、資産項目から有形固定資産を除外して純金融負債残高(総債務ー総金融資産)の対GDP比を計算すると86.4%となって、数字上改善しているからだ。
資産額の全体を表す「総資産」よりも、資産額のうち金融資産だけを取り出した「総金融資産」の方が当然小さいのは当たり前だ。そうすると、政府純債務残高(総債務ー総資産)よりも、純金融負債残高(総債務ー総金融資産)の方が当然大きくなるに決まっている。だが、そうはなっていないのだ。
日本銀行の国債資産をお忘れなく
さてここで、中央銀行である日本銀行まで連結対象にしたら、日本政府のプラスはさらに大きくなることもよく指摘される。
2024年末段階で日銀が保有する日本国債は559兆円規模に達しているからだ。
日銀を日本政府の子会社とみなして連結対象として考えることには、異論があることは承知している。日銀と日本政府は目的が違い、その進む方向が常に一致するわけではないからだ。日銀が日本政府と協議しながら金融政策を進めていくとしても、「親会社」としての日本政府が「子会社」である日銀の動きを完全にコントロールできるわけではなく、日銀の独立性は保証されている。
ただ、日銀が保有する国債の金利は日銀の利益として計上され、その利益は最終的には国庫に上納されることになっているのだから、政府が日銀に支払う国債の利払い費用は、事実上費用として考える必要がないというのは確かだ。
この結果として日銀保有国債について日本政府の債務として捉える必要性が極めて小さいのも事実である。
こうしたことを全て見てきた場合に、日本の財政状況が世間で思われているほど悪いものではないことがわかるだろう。
むしろこうした実態に即して考えた場合に、石破総理の発言がいかに現実から乖離し、不必要に日本を貶めるものであるかは明らかだとは言えないだろうか。
石破総理には即刻退陣していただきたいものだ。
https://gendai.media/articles/-/152407?imp=0
利息もあるということ
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