国内の自治体をアフリカの「ホームタウン」に認定するJICAの事業をめぐり、騒動が続いている。この問題を取材したライターの九戸山昌信さんは「今回の事業が炎上した原因は、ネーミングが移民政策を想起させやすかったことと、地域を限定したことだろう。このほかにも『アフリカからの移民』につながる新制度が2027年から始まるため、注視したほうがいい」という――。
■JICA「ホームタウン」事業が大炎上
「アフリカからの移民受け入れ政策か」との疑念がいまだ払拭しきれないJICAのアフリカ・ホームタウン。林芳正官房長官は会見で「JICA研修事業等を通じたインターン生の受け入れを想定している。この研修は期限付きで、研修終了後は研修生の出身国への帰国を前提としていて、移民の受け入れ促進ではない」とコメントした。JICAや外務省は混乱を理由に制度名称の変更のほか、内容も再検討しているという。
そもそも、政府は移民政策が国民に不人気であることは、重々承知している。これまで公式に「移民」の定義を示しておらず、その存在や解釈を認めていない。在留外国人全体やその動向、状態を「移民」として言及するのを避け、個々人の在留資格に対応した「目的」の部分しか説明をしないのが常だ。つまり現在、377万人いる在留外国人は移民ではないというスタンスだ。
その意味で、ホームタウンの問題に関しても、政府はもともと存在を認めてない「移民」という概念を、あらためて否定しただけ、という見方もできる。もしそうであれば、アフリカ4カ国出身者の住民登録や在留人口の流入超過を否定しているわけではないことになる。「食事はしたが、米は食べてない」という“ご飯論法”のような話である。
■「アフリカからの移民」につながる新制度
今回のホームタウンが騒動になった原因は、ネーミングが移民政策を想起させやすかったことと、地域を限定してしまったことだろう。実はあまり話題になってはいないが、「アフリカからの移民」にも繋がる新制度はすでに決まっている。
これは現在の技能実習制度の後継にあたる「育成就労」で、2027年から開始予定の制度だ。特に、永住や家族帯同が可能になる「特定技能2号」の対象分野が、建設などの2分野から、外食などを含む11分野に大幅拡大され、大きく裾野を広げた。文字通り、移民政策に近いと指摘されている。円安など相対的な日本の低賃金化で、アジア圏からの働き手の確保が難しくなり、今後は物価水準が安いイスラム圏やアフリカ諸国に受け入れ対象国が広がるとも指摘されているのだ。
この制度の受け入れ目標は現在の技能実習生42万人のおよそ倍の82万人であり、家族帯同が増えればこの何倍も在留外国人の人口が増える可能性がある。イスラム圏では、すでに19年にパキスタンとの間で技能実習の送り出し国として覚書を交わしている。
略
■マンション言語を「中国語にして」という要求も
「郷に入っては郷に従え」が通じるのは移民人口が少数の間だけだろう。移民を増やしていくのなら、日本社会において人口が減っていく日本人の価値観だけに寄せて保つのは難しい。例えばイスラム圏からの移民が一定数以上増えれば、モスクが増えたり「アザーン」の大音量を許容したり、給食メニューなども配慮する必要が出てくるだろう。また、日常の何気ない態度で単に不機嫌な時でも、民族が違えば「人種差別」と受け取られてしまうこともあるので、常に気は抜けない。
勤め先においても、例えば会社の上司に外国人が就いた時、同じ出身国の部下と日本人部下がいてどちらを出世させるか。“同胞であること”がその判断材料にならない保証はない。生活面でも、外国人は出身国同士で集住する傾向があり、すでに中国人街は全国で増えている。マンションの管理組合でも、意見集約が滞る恐れもあり、マンション言語を「中国語にして」という要求が総会で出ている管理組合もすでにあるという。
民族的多様性は、利害が衝突しない場面では創造性を高め、楽しい交流など肯定的な側面がある。しかし、時として利害対立のある日常の社会生活では、価値観の違いが摩擦を生み、必然的に「外国人問題」や人種差別なども起こりやすい環境になってしまう。
■「ステルス移民政策」を続けていいのか
そもそも、国家とは文化や価値観を共有する民族単位で形成される統治の枠組みだ。移民で成り立った国や、戦争で支配地域を増やした国、アフリカなど民族地域を無視して国境線が引かれた国の統治はやはり複雑で、分断がある。長い多民族国家の歴史があるアメリカでも、白人と黒人の所得格差は1.7倍差があるという。
異なる価値観や環境で育った者同士が同じ地域で暮らすことは簡単ではない。文化摩擦や軋轢が起きないように仲良くすべきという理想と、現実に問題が起こるかどうかは分けて考える必要がある。国民が暮らすのは残念ながら理想空間ではなく、現実空間だからだ。
一方で、国民の均質性や同質性にも価値はあるはずだ。国民が民族的に同質で価値観が一つなら、統制や規律の維持が容易になる。政府がマスク着用を呼び掛けても、9割が従ってくれるのも同質性が高いからだろう。日本や中国、韓国が自由化後に急速な経済発展を遂げたのも、同一民族による統制のしやすさがその背景にあったはずだ。
間も無く、自民党の総裁選が始まる。現時点で高市早苗氏以外は移民政策に肯定的、あるいは態度を明確にしていない。各候補が、どう考えているのか、あらためてはっきり聞いてみたいものだ。
全文は
https://news.yahoo.co.jp/articles/26587ea08b829d5fb5e69eaa41a4884db36cef66?page=1
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