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世界の国葬事情を調べてみた 国王・大統領のほかに軍人や学者、歌手、俳優も
国葬は世界各国でどう行われるのか。エリザベス英女王や安倍晋三元首相の国葬を前に各国の事情を調べた。(肩書は原則、死去時のもの)
◆イギリス ニュートンは国葬、サッチャー元首相は「儀礼葬」
英国の国葬は慣例で君主(国王・女王)が対象となる。エリザベス女王の前には、女王の父ジョージ6世の国葬が1952年に実施された。
例外として、議会が「類いまれな国への功績がある」と承認した功労者も国葬が行われる。万有引力の法則を発見したニュートン(1727年)、ナポレオンのフランス海軍を破った提督ネルソン(1806年)などがいる。直近では、第2次大戦を勝利に導いたチャーチル元首相の国葬が1965年にあった。
昨年死去したエリザベス女王の夫フィリップ殿下は、国葬に準じる「儀礼葬」となった。ほかに97年に事故死したダイアナ元皇太子妃や、エリザベス女王の母のエリザベス皇太后、「鉄の女」で知られるサッチャー元首相らに儀礼葬が実施された。(ロンドン・加藤美喜)◆アメリカ 大統領は国葬もニクソンは遺族が「辞退」
米国は国葬を規定した法令がなく、慣例として実施される。大統領経験者や大統領が指名した人などが対象。大統領が布告を出して行われ、軍が取り仕切る。
ホワイトハウス歴史協会によると、米国初の国葬は1841年に在任中に病死した第9代大統領ハリソンとされる。アイゼンハワー、レーガン、ブッシュ(父)の各元大統領らのほか、第2次大戦での功績などから元帥だったマッカーサーも国葬が行われた。
一方、大統領経験者でもニクソン氏は遺族の希望で国葬ではなかった。72年の「ウォーターゲート事件」で辞任に追い込まれたニクソン氏に対し、国葬実施への批判があった。
63年に現職で暗殺されたケネディ大統領の国葬は、多数の外国首脳のほか25万人以上の市民が参列して大規模になった。これを受け、軍は国葬の手順書を作成。ひつぎの位置や兵士の数、葬列の速度まで規定する。(ワシントン・浅井俊典)◆フランス 増える文化人実施、テロ犠牲の市民も
フランスではすべての葬儀費用を国費負担する国葬と、追悼式典のみを国費で負担する「オマージュ・ナショナル」がある。明確な判断基準はなく、いずれも大統領が実施を決定する。
国葬は1975年の歌手ジョセフィン・ベーカーさんらごく少数に限られる。大統領経験者は遺言で国葬などを辞退することが恒例化しているが、2019年に死去したシラク氏は遺言がなかったことなどから国葬が行われた。
オマージュ・ナショナルも、国のために亡くなった軍人や、社会的な功績が大きい著名人が対象となる。従来は第2次大戦中の対独抵抗運動レジスタンスでの活躍や仏最高勲章レジオン・ドヌール受章など特別な経歴を持つ人物が対象となってきた。しかしマクロン大統領の就任後は歌手や俳優など文化人での実施が増え、テロ事件で犠牲になった一般市民も対象となった。(パリ・谷悠己)
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