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毎日新聞
SHARPに「振り回された…」 「世界の亀山」に沸いた町の今
シャープが液晶ディスプレー事業を行う亀山工場(三重県亀山市)などの生産規模を縮小する方針を示して14日で1カ月。県と亀山市の肝いりで誘致し、一時は一貫生産した液晶テレビが「世界の亀山モデル」として一世を風びした。同社は亀山工場の従業員のリストラなどを実施しないとしつつも「配置の最適化を行う」と表明。市民からは存続を不安視する声も上がっている。
「工場が完成した頃は朝から夕方まで工場と亀山駅のピストン輸送で月160万円稼いだ。今ではその区間のお客さんは1日1組あればいい方。寂しいね」。タクシー運転手の男性(62)はさみしげな笑みを浮かべた。市内の不動産業者も「シャープの従業員向けに建てた集合住宅に空き部屋が目立つ。特に最近はワンルームが供給過剰になっている」と肩を落とした。全30室のうち20室が空室の物件もあるという。
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亀山市の桜井義之市長は5月28日の定例記者会見でシャープ側から「現時点で関連企業や従業員への影響はない」と人員は削減しない趣旨の説明があったことを明かし「今後についてもご期待申し上げ、注視していきたい」と話した。
ただ、シャープに「振り回された」と感じている亀山市民もいる。市内の女性(82)は「シャープが来たからといって思ったほど中心市街地は盛り上がらなかった。もし今後、撤退なんていうことになれば、さらに町は衰退してしまうのでは」と不安を口にする。
亀山市で25年間市議をしている服部孝規市議は「誘致の段階から見通しが甘かったのでないか」と指摘。「技術革新が早い産業の一社に依存してしまった結果だろう。地元の正社員の採用も少ないとされており、中心街でもシャッターの下りた店舗が目立つ。今後について市にはしっかりと考えてもらいたい」と注文した。【原諒馬】
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